車イスを押して

 お昼休みの撮影散策に出には出たが撮ることもほとんどせずにトボトボと歩いて会社にもどっていった。会社の近くま来ると、なにやら車イスに乗ったおばあちゃんが動けずに難儀している。ちょっとした道路の段差に車イスの小さな前輪が乗り越えられないのだ。相方が膝の骨折で車イスを押したときに苦労したことが思い出された。おまけにおばあちゃんの力ではとても動きそうにもない。
 「どうされました」と声をかけて、車イスをおして段差をやり過ごした。「これで、動きますが大丈夫ですか。どこかに行かれるのですか」とたずねながら車イスを押した。おばあちゃんの話では、いつもは電動イスで移動するのだが、目の手術をしたので電動イスが乗れないこと、いつも面倒を見ていただいている知り合いの方に連絡がとれないこと、ヘルパーの方が来れないことなど、いろいろな事情が重なって生活費が一銭も無くなり止むに止まれず農協に年金を受け取りにいくということらしい。
 おばあちゃんは「すいませんが農協まで押していただけないでしょうか、もちろんお金は払います、だからだからお願いします」と切実に訴えてくる。私は会社に遅れるので困ったと思ったのだが、このままほっておくことも出来ず、会社に連絡を入れ事情を説明し農協まで押していくことにした。会社の了解も取れたことをおばあちゃんに伝え「農協はこちらの方向でいいですか」と押して行った。
 「良かった良かった、お金は絶対に払いますから」とおばあちゃん。
 「ぼくのおせっかいでやっていることだから、お金はいらないですよ、おせっかいにお金はいらないんですよ」とゆっくりゆっくり車イスを押して行った。
 相方の車イスでの経験があったから、おせっかいに出たのかもしれない。以前に河川敷で私のしゃがんでいる姿を心配して声をかけてくださった見ず知らずの人の親切に恩返しする気持ちもあった。でもどうも自分の心境としてはそれだけではないようなのだ。東日本大地震から困っていたら助けるという心情のようなものがあるというか、うまくいえないのだが無意識ながらそうしたものをなんとなく感じている。


1 スケッチはいつもの天神からです。
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2 タンポポ Lumix DCM-G1+ZD50/2.0
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by datian | 2011-04-27 22:05 | スケッチ絵画 | Comments(10)
Commented by aitoyuuki32 at 2011-04-27 22:57
私も経験しました、一日だけ外出をしたのですが、歩道を降りる時のちょっとした段差が上れないですね。
この時は奥様がうしろから押していたので助かりました。やってみないとわからないバリアフリー、名古屋でもまだまだです。
Commented by mako3po at 2011-04-28 12:22 x
こんにちわ!
良い事をされましたね、私ごとですが火曜日小倉に内科クリニックの帰り小倉駅近くで風が強くこのままで歩けないと
デパートの東側の公園で腰かけ考えていたところ、1時過ぎ
だったので、元同僚にぱったり会い、事情をいったところ
駅まで送っていくと言われ、駅の中迄サポートして頂き、
半年位会っていなかったので、話も出来、感謝した日でした。往きは西小倉からタクシーに乗り、体力を温存し、
帰りはゆっくりペースで元60歳迄通った道をマイペースで
と、、、先日は病院から駅迄タクシーが良かったと後で
思った事です。外出した時、いつも大小助けて頂き、近頃
は買い物した時大きめのリュックを背負っておりますので、
店の方に適当に入れて頂いております。自分が無理な時は
声を出すようにしております。
毎日の生活の
中で、自分の意思で動ける事、暖かい物食べられる事、普通の生活が一番の幸せと思っております。
このたびの震災も私だったら2次災害で助からないと考えさせられました。いつもすばらしい野草の写真ありがとうございます。
Commented by あまぎやま at 2011-04-28 12:46 x
datianの心覗いた車椅子。(呼び捨て御免です)
Commented by datian at 2011-04-28 21:39
●aitoyuuki32さん、こんばんは。
 aitoyuuki32さんも大変でしたね。ほんと、こればっかりは
経験しないことには分からないことが多いですよね。
 この道も車2台がやっと離合すできるようなところで
バリアフリーとは縁遠いところです。でもそうした地域に
一人暮らしのおばあちゃんとかが多いようです。

Commented by datian at 2011-04-28 21:39
●mako3poさん、こんばんは。
 コメントを読みながら何度か行ったことのある小倉のあの辺だろうか、
そこで風が強くてそれは難儀なと、いろいろ想像しました。
 そんな時に元同僚の方、とても良い友人、心強い友人をお持ちでうらやましい
です。
 私が車イスを押したおばあちゃんも、ここで地震があったらどうやって
非難するのだろうと思わず心配になりました。
 車イスを押して、それだけなのですが、とても感謝されて、なんだかとてもうれし
くなりました。こんな感情はひさびさでした。
 地震からなにが本当の幸せなのかいろいろと考えさせられています。
 野草の写真が、少しでもお気持ちを和らげるものであれば、これもまた
うれしく、なによりも撮る励みになります。ありがとうございます。

Commented by datian at 2011-04-28 21:42
●あまぎやまさん、こんばんは。
 見事な五七五、呼び捨てOKです。私も五七五で気のきいたご返事を
しようとしたのですが、思いつきませんでした。
 助けあうということについて、地震いらいそのとらえ方が私のなかで
変わってきたような気がしています。

Commented by musapoo at 2011-04-30 01:20
心の広いdatianさんにゆとりのある会社。
いいですね。
恩返しと言うのは必ずその人に返すだけじゃないですね。
心遣いを受け渡していく。
そうすることで、巡り巡って相手に届く。
私もそうでありたいと思います。
Commented by datian at 2011-04-30 20:56
●musapooさん、こんばんは。
 会社の電話を受けてくれた同僚も、大きな病気を
され苦労されてきているので通じるところがあった
のではないかと思っています。
 私がうまく言葉にならないところをまとめて
頂いたようで助かります。
 日本は、勝ち組だ負け組みだという競争社会ですが
そうではない方が実は着実に伸びているように思えるよう
になってきました。

Commented by junpapa at 2011-05-01 13:11 x
拍手〜〜〜♪

いつもはスケッチに感心しながら訪問していますが、おばあちゃんへのお節介、なかなか実行出来ませんよね。 嬉しくなりました。
Commented by datian at 2011-05-01 21:37
●junpapaさん、こんばんは。
 拍手、ありがとうございます。顔を真赤にして照れております。

 こうした場面にはあまり出会わないのですが、今までだとお節介を
やくにしてもかなり迷っていたと思います。今回はなんだか自分でも
スムーズに「どうされました」という言葉が出ていました。
 自分でもびっくりしております。
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